パソコンがウイルスに感染?正しい対処方法をご紹介

万が一パソコンがウイルスに感染すると、動作が遅くなったりソフトなどが使えなくなるほか、情報が盗まれたり、ネット回線などを通じてほかのパソコンにも感染するなど、大きな被害をもたらす恐れがあります。
感染しないように予防策を講じておくことが大切ですが、万が一、感染した際に早期発見、早期対処で被害を最小限に抑えられるよう、ウイルスの種類や感染の症状、対処策を理解しておくことも大切です。
パソコンがおかしい?ウイルス感染の症状とは
パソコンの調子が急におかしくなる、これまでにない動きをするとなったときは、ウイルスに侵されている可能性があります。
パソコンの故障や寿命による不具合と見分けるためにも、ウイルス感染の症状について知っておきましょう。
たくさんある!ウイルスの種類
ウイルスといっても、その種類は多様です。
しかも、ウイルスは悪質な人の手によって、世界のどこかで日々、開発が行われ増え続けています。
ウイルスは進化し続けるため、こちらも最新の情報を手に入れて対処しなくてはなりません。
ここでは代表的なウイルスについて見ていきます。
トロイの木馬
ギリシア神話に登場するトロイの木馬のような動きを見せることから、名付けられました。
便利なソフトや面白いゲームのように見せかけることで実行するように仕向け、ユーザーが騙されて実行してしまうと感染します。
もし感染してしまえば、個人情報を盗まれることやコンピュータの設定を勝手に変えられるなどの被害が出ます。
トロイの木馬といっても、多彩な種類があり、続々と新しいタイプが生み出されるので注意しなくてはなりません。
代表的な種類を学んでおきましょう。
バックドア型 | ユーザーが知らない間にインストールされ、実行されてしまう、遠隔操作プログラムで、非常に手ごわいウイルスです。 |
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パスワード窃盗型 | パソコン上のあらゆる種類のパスワードやIPアドレス、ユーザーの詳細な情報などを収集してしまい、電子メールなどを利用して攻撃者へと情報を漏らします。 |
クラッカー型 | ブラウザの管理者権限でしか変えられない設定を改変してしまい、パソコンを起動しインターネットに接続した瞬間に攻撃者が指定した特定のWebサイトへと接続させるものです。 |
ダウンローダ型 | パソコンを起動すると攻撃者が意図した特定のウェブサイトへ接続し、悪意あるプログラムのダウンロードが勝手に始まってしまいます。 ダウンロードが終わるとプログラムが勝手に実行されてしまうウイルスです。 |
ドロッパー型 | 悪意あるプログラムをユーザーの知らないうちにインストール、実行するために使用されるものです。 FTP情報を盗まれ、Webサイトにトロイの木馬を埋め込む改ざんがなされるケースも少なくありません。 |
プロキシ型 | ユーザーのルーターやDNSの設定を無許可で改変し、パソコン上にプロキシサーバを勝手に構築してしまいます。 ユーザーのIPアドレスを攻撃者がハイテク犯罪に乱用してしまうことで、知らないうちにハイテク犯罪の加害者となってしまう恐ろしいウイルスです。 |
ランサムウェア
ランサムウェアはRansom(身代金)とSoftware(ソフトウェア)を組み合わせた造語で、感染するとパソコン内に保存していたデータを勝手に暗号化されて使えない状態にされる場合があります。
スマートフォンが操作不能になるケースも少なくありません。
使用制限を解除するためには身代金を払えと要求する画面を表示させる極めて悪質なウイルスで、多額のビットコインなどを要求される事例が増えています。
感染経路としては攻撃者が送付したメールの添付ファイルを開くことや本文中に記載されたリンク先をクリックするほか、無関係の第三者のウェブサイトが改ざんされてしまい、そのウェブサイトにアクセスしただけで感染する例も見られます。
ワーム
1つのパソコンだけでなく、インターネットを虫のように這いまわって、次々と別のパソコンに感染していくことから、ワーム(虫)という名前が付けられました。
ウイルスに感染すると、感染したパソコンからウイルス付きのメールを知らないうちに大量に送ってしまい、さらなる被害をもたらしていくため、注意が必要です。
感染スピードが速く、パソコンからパソコンへと社内感染などが起これば、業務が停止する恐れもあります。
破壊活動や別のコンピュータへの侵入などを行うウイルスです。
主となるファイルを必要としない点でコンピュータウイルスとは区別されますが、ネットワークを介してほかのコンピュータに伝染していく点では共通しており、コンピュータウイルスの感染経路は多くがファイルが添付されている電子メールですが、USBやCD-ROM、Web サイトなどを介して増殖することも少なくありません。
一般的なウイルスとは異なり、自身のコピーを生み出しそれを繰り返すことでどんどん増殖していくため、ハードディスク容量や帯域幅を使い尽くすなど、破壊的な被害をもたらします。
スパイウェア
ユーザーに気づかれずにパソコンに不正侵入し、ユーザーの行動や個人情報を収集して、外部に送信するソフトウェアです。
ウイルスとは異なり、本来のプログラムが正常に動作しているように見せかけながら、使用しているパソコンの構成やユーザーが訪問するWebサイトの種類、 使用しているIDやパスワード、クレジットカード情報など、パソコン上やネット上で使う個人情報や機密情報などを盗み取っていきます。
感染経路として考えられるのは、悪質なプログラムが含まれたフリーソフトウェアや無償の音楽再生プログラム、シェアウェアのダウンロードが挙げられます。
キーロガー
パソコンのキーボード操作を、常時監視して記録する装置やソフトウェアです。
他人のパソコンにこっそりと仕掛けて、個人情報や機密情報などを盗み取るのに悪用されています。
トロイの木馬やコンピュータウイルスにキーロガーが埋め込まれ、ネット通販やオンラインバンキングなどでパスワードなど秘密の情報をキー入力すると、それを盗み取って攻撃者に漏らすという仕組みです。
ネットカフェのパソコンなどにキーロガーが仕掛けられることで、ネットサービスのパスワードなどを盗み取られてしまう被害も発生しているため、不特定多数の人が気軽に利用できるパソコンではパスワードを入力して利用するサイトなどは使用しないのがおすすめです。
コンピュータウイルス
コンピュータウイルスとは第三者のプログラムやデータベースに意図的になんらかの被害を及ぼすように作られたプログラムの総称で、ほかのパソコンを攻撃する目的や情報を盗む目的などで開発されています。
感染後潜伏して発病するという、インフルエンザなどのウイルスと同じような動きを取ることから、名付けられました。
従来のコンピュータウイルスは感染してからしばらくパソコン内に潜伏して発病するのが基本でしたが、近年では感染と同時に発病するものがほとんどとなり、感染スピードが速まっているので、いっそうの注意が必要です。
症状としては、画面上に奇妙なメッセージを表示する愉快犯的なものから、個人情報を盗み取ることやパソコンを起動できなくするなど多種多様です。
コンピュータウイルスに感染したことに気づかずにパソコンを使い続けると、家族や同僚などのパソコンにも感染させ、被害を拡大させるおそれがあります。
PCがウイルスに感染したことに気が付くには
近年のウイルスは感染と同時に甚大な被害をもたらすものが増えていますが、それでも、ほかのパソコンへの感染を食い止め、少しでも被害を抑えるために、早期発見、早期対処が不可欠です。
ウイルスに感染したことに気が付く方法を確認しておきましょう。
タスクマネージャーを確認する
タスクマネージャーを起動して、見慣れないプロセスが多数表示された際は、ウイルス感染のおそれがあります。
インストールされているプログラムを確認する
入れた覚えのないプログラムや見覚えのないプログラムがないか確認しましょう。
PCが重くなったりフリーズしやすい場合
動作速度が突然遅くなった場合やパソコンが突然シャットダウンされる、勝手に再起動を繰り返したりしていませんか。
開いているプログラムが突然閉じてしまった場合やアプリケーションが起動できないなどのケースも要注意です。
ウイルス対策ソフトを導入してチェック
ウイルス対策ソフトを使ってウイルスチェックをしてみましょう。
信頼のおけるウイルス対策ソフトならウイルスの確認が期待できます。
ただし、最新バージョンでないと最新のウイルスを発見できませんので、インストールの際はバージョンをしっかり確認しましょう。
PCがウイルスに感染するとどうなるか
ウイルスに感染した際の症状を理解しておくと、いち早くウイルス感染に気付くことができます。
ウイルスの種類別にもご紹介しましたが、よくある症状を今一度確認しておきましょう。
データを盗み見られたり悪用されたりする
パソコン内やアクセスしたサイト上で使用しているデータを盗み見られたり、悪用されたりするリスクがあります。
大切な個人情報や企業機密情報が悪用されるケースもあるので要注意です。
PC内の連絡先にウイルスをばらまくことも
例えばメールソフトなどから入り込み、パソコン内に保存されている連絡先をアドレス帳から勝手にメールを送信して、送信相手にウイルスをばらまいて、被害を拡大させることもあります。
ユーザーIDやパスワードを奪われることによる被害
ユーザーIDやパスワードを奪われ、ネットバンキングやネット証券などで悪用されたり、登録しているオンラインショッピングで勝手に買い物をされたり、特定のユーザーしか入れないページに入られて情報を盗まれることもあります。
サイバー攻撃への加担やなりすましも
正常に運営しているWebサイトなどが知らないうちに乗っ取られ、サイトに登録しているユーザーの個人情報が盗まれて悪用されるなど、意図せずサイバー攻撃への加担してしまうケースも少なくありません。
ウイルスを駆除しよう!感染したときの対処法
ウイルスに感染したら手の付けようがない、というわけではありません。
人間がインフルエンザウイルスに罹患したとき、治療薬で追い出して症状の悪化を食い止めたり回復させたりするのと同じで、感染後に即対応を図ることで被害の拡大防止を図ることが可能です。
セキュリティソフトをアップデートする
セキュリティソフトを導入しているから大丈夫と過信してはいけません。
一度インストールしたから万全なのではなく、常に最新の状態にアップデートをしておくことが大切です。
アップデート中は作業ができなくなるからなどと更新せずにいると、最新のウイルスが現れても対処できなくなります。
また、最近のウイルスはパソコンのセキュリティホールの弱点を攻撃して感染するタイプのものが増えており、中にはウイルス対策ソフトでは対応しきれないケースがあります。
これに対応するためには、セキュリティホールを修正するセキュリティパッチを実行しておくことも大切です。
Windowsパソコンの場合、マイクロソフト社が新しいセキュリティホールが見つかるたびに、無料でセキュリティパッチを提供しているので、面倒がらずに行うようにしましょう。
ネットワークから切断する
インターネットや社内LAN、家庭内LANを通じてパソコン同士が繋がっている場合やメールが送信できる状態にある場合、インターネット回線や勝手にメールが送られることで、どんどん別のパソコンにウイルスが感染してしまいます。
自分のパソコンが感染したことに気付いたら、直ちにネットワークを切断し、せめて自分のパソコンだけで被害が食い止められるようにしましょう。
会社全体や家族や知人にも被害をもたらせば、責任問題にもつながりかねません。
ウイルスの特定をする
人間に感染するインフルエンザウイルスの種類がA型かB型かによって処方薬も異なるように、ウイルスも種類によって駆除方法が異なります。
症状は似通っているため、一体なんのウイルスが悪さをしているのか、ウイルス対策ソフトを使ってウイルスチェックを実施し、種類の特定を行いましょう。
駆除方法を確認してウイルスを駆除する
ウイルスの種類が特定できたら、最新のウイルス定義ファイルが適用されているウイルス対策ソフトやウイルス対策ソフトの各メーカーが配布する駆除ソフトを用いて、ウイルスの駆除を行ってください。
ウイルスの駆除に失敗してしまったらどうする?
では、ウイルスの駆除がうまくいかなかった場合にはどうしたら良いのでしょうか。
パソコン内に残されているデータなど、心配になる方も多いはずです。
大切なデータのバックアップを取る
ウイルスに感染した後ではもはやバックアップが取れないこともありますので、感染リスクに備え、日頃から重要なファイルのバックアップをしておく必要があります。
ウイルス感染後はインターネットに繋げてクラウド上にデータを保管するといったことは、感染リスクを拡大させるため、行うことができません。
万が一バックアップを取り忘れてしまった場合は、USBやCDロムなどを用いて、データを移行できるか試みる必要があります。
パソコンのリカバリーをして初期状態に戻す
データのバックアップができたら、初期化CDを用い、パソコンを初期化して購入したときの状態に戻します。
初期化後にバックアップしたファイルをパソコンに戻すことで状態を回復できる場合がありますが、ファイルを戻す前にファイルがウイルス感染していないかどうか確認しないと再感染の恐れがあり危険です。
そのためにはウイルスに感染しても良い古いパソコンなどにファイルを入れ、インターネットに接続ない状態で最新のウイルス定義ファイルを適用したウイルス対策ソフトで確認するなどの手間をかける必要があります。
今後ウイルスの感染を防ぐためにできること
感染の反省を活かす場合やまだ未経験のリスクに対処するために、どのような対策がとれるでしょうか。
OSやソフトウェアをアップデートして最新にしておく
メーカーのサポートが切れたOSは脆弱性が高く、ウイルスに侵される危険性があります。
最新のパソコンへの買い替えや最新OSへのバージョンアップを行わなくてはなりません。
インストールしているソフトウェア各種やインターネットのブラウザなども更新の案内に合わせて、最新バージョンにアップデートし続けることが大切です。
ウイルスの多くがプログラムの脆弱性を突いて侵入してくるので、既存の修正プログラムをすべて適用するだけでも、感染リスクを低減できます。
セキュリティソフトを利用する
セキュリティソフトはウイルス付きのメールやウイルスに感染したファイルなどを見つける役割を果たすので、信頼できるソフトの最新バージョンを適用することがおすすめです。
パソコンを起動するたびにチェックが行われる、無駄な表示が出て煩わしいなどと敬遠せずに地道に利用しましょう。
知らない人からのメールをむやみに開かない
ウイルスはメールに添付されてくることも多いため、知らないメールアドレスからのメールや意味不明な件名のメール、添付ファイルが付いたメールには注意しましょう。
最近のウイルスは送信者のアドレスを偽るケースも増大しているため、知人や同僚からのメールでも添付ファイルが付いたメールの場合、メールを開ける前に電話で送信者に確認を取るなどの防備も求められます。
不審なサイトを閲覧しない
アダルトサイトをはじめ、闇金サイト、これまでアクセスしたことがない海外のサイトなど不審なサイトは閲覧しないようにしましょう。
どこに罠が隠されているかわかりません。
中には金融機関や公的機関、有名な企業やオンラインショップなどを偽ったサイトもあるので、URLの確認をするなど、ネット閲覧も慎重に行いましょう。
特にIDやパスワードを入力するサイトの利用には注意が必要です。
PC以外にも対策は必要?
最近はスマホを狙ったウイルスも増えています。
パソコンよりスマホをメインに利用する人も増え、中にはスマホしか持っていない方もいるはずです。
スマホ用のウイルス対策ソフトやセキュリティソフトもあり、端末の購入時に携帯電話会社の販売窓口で、オプションとして導入を勧められるようになっています。
オプション料がもったいないと断る方も多いですが、大切なデータが詰まったスマホを守るためにも導入するのがおすすめです。
身に覚えのない請求はどうすれば?
パソコンに料金支払いを促す見覚えのない不審なメッセージが表示されるようになることやスマホにサイトの閲覧料の支払いを求める怪しいメールが盛んに入るケースも増えています。
金銭を請求されると焦ってしまう方も多く、適切な対処ができなくなるケースもあるため注意が必要です。
架空請求や悪質な脅迫行為なため、支払う必要はありません。
ですが、そのまま放置してしまうとパソコンやスマホ内にウイルスが増殖することやインターネット回線やなりすましメールの送信を通じて感染拡大を起こすおそれがあるので注意が必要です。
ウイルスの駆除はプロにお任せ
「ウイルスに感染したらウイルスをチェックして駆除しよう」「データをバックアップして初期化しよう」と言われても、専門知識がないため怖くて下手に触れない方や難しくて対応できない方も少なくありません。
安心してウイルス駆除やウイルス対策を行いたいなら、プロに依頼しましょう。
日頃、バックアップを取っておらず困っている方やバックアップがまだ済んでいなかった直近に利用したデータなどを取り出したい場合も、対応してもらえることがあります。
また、万が一データが改ざん・破損・削除されていた場合に元の状態に復旧できることもあるため、専門の業者に相談するのがおすすめです。